2020年9月17日、iOS14がリリースとなりました。ウィジェットやアプリ配置の自由度が上がり、今まで以上に高い操作性を得ることができるようになりました。
今回のアップデートでは自動車に関する機能追加があったので、少し取り上げてみようと思います。また、「ピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)」機能によりiOSがさらにiPadOSやMacOSに近づいてきたということ。この点も含めてコメントしていきます。

Agenda

  • ついに搭載!Car Keys
  • マップアプリにEV充電器情報がプロット
  • Apple「大統一」の兆し

ついに搭載!Car Keys

 20年6月のWWDC20にて既にアナウンスがあった”Car Keys”、21年モデルのBMW5シリーズからメーカー正式対応になりました。自動車業界では「デジタルキー」として知られている機能です。ドア開閉はもちろん、エンジン始動まで可能となっています。
 ついに始まったソフトウェアによるハードの破壊。古代アッシリアから人類史にも重要な役割である「情報媒体」として鍵の存在は、自動車キーのデジタル化を皮切りに徐々にその地位を奪われていくでしょう。


 ちなみにCar Keysでは他人への鍵のアクティベーションもできるようになり、より一層シェアリングが進むように思われます。さらにこの機能では速度制限も可能になるようです。

マップアプリにEV充電器がプロット

 ついにマップアプリにEV充電器がプロットされるようになりました。筆者のようなEVユーザーには嬉しいものの、弊社取締役としては同様のアプリを制作しているので複雑な心境ではあります(まあウチのはもっと細かい機能があるけどね!!)
 オフィシャルページには「マップアプリにはマップアプリはあなたの車の現在の充電状況をチェックし、標高などを考慮したうえで、道の途中にある充電スポットを自動的に追加することができます。その車に合った充電器の種類もわかるので、互換性のあるステーションに確実に立ち寄れます。」とのこと。
 少し驚いたのは標高まで検知するところ。これが意味するのは走行ルートが現在地点から標高を下っていくのであれば回生ブレーキ分の走行距離が伸び、逆に高いところへ登っていくとその分消費電力が大きくなり走行距離が短くなるということ。車両の電力消費をより詳細に計算させるために標高を検知しています。
ただし注訳に、「電気自動車での経路を使用するには、iOS 14を搭載したiPhoneと、対応する自動車が必要です。」との記述が。
我がBMW i3には使えるのでしょうか。

Apple「大統一」の兆し

 

車関係のアップデートとは別に筆者が少し気になったのがiPhoneの「ピクチャ・イン・ピクチャ(以下:PIP)」機能。
 MacはそもそもPCなので「マルチタスク」、例えば Keynoteを開きスライドを作りーSafariでYouTubeを開きながらBGMでジャズピアノを聞くー。こんなことPCでは当たり前すぎてなんとも思わないですが、iPadではPIPとして搭載されるようになりました。
 これでiPadがMacに近づいた!と野暮なことを書いても仕方がないのですが、iPadがMacのこのユーザー体験を手に入れたのも事実です。
iOS14にてiPhoneでもPIPが搭載され、iPhoneのユーザー体験がさらに向上するようになったと思います。
 iOS14の大々的な機能として宣伝されているものではないものの、筆者はここにAppleの今後のハードウェアラインナップとソフトウェアの戦略(もしくは思想と言ってもいいのかもしれません)が垣間見えると思います。
 iPhoneをはじめとするMac以外のAppleのモバイル製品は近年のアップデートにより非常に高性能なチップやメモリー、センサー類を備え、いまやMacbookレベルと同等以上の性能を持つようになりました。
ハードウェアの性能が横並びになりつつあり、一般的な消費者目線で見ればもはや物理的な「大きさ」でしか違いがありません。数年前からMacOSにローンチパッドが搭載されるようになり、アプリケーションの存在が強くハイライトされるようになりました。当時のAppleもMacOSとiOSのシームレス化を匂わせるアナウンスをしており、いわばiOS、のちのiPadOS、MacOSの「大統一OS」を目指しているように思えます。
これが筆者の思うAppleの戦略であり、この大統一OSを”Apple OS”と仮称するならばApple OSはそれぞれのハードウェアの良点や特徴を残しつつもあまねくユーザーに対して心地よい体験を提供するものになるでしょう。
 実際の大統一論はなかなか多難なようですが、こちらの大統一は是非とも前進して欲しいです。

出典:Apple.inc